4月6日 『清明の30分』
満開の桜も見納めかなと思う平日の今日は広く静かな公園のベンチに座っている。
手にはアメリカンドッグ。
周りを見渡すと同じ様にベンチに腰掛けたおじいちゃんが読書中、おばあちゃんのグループは風が吹くと花を散らす桜の下でお喋りをしている。
昼休みであろう社会人は静かにお弁当を食べ、慣れた仕草で接している若い男女はバドミントンを楽しむというより2人の間に流れる空気を楽しんでいるようだ。
ベビーカーを押す初々しい夫婦はベンチに腰掛けるところ。
暇そうなおじさんはずっと何処かを眺めている。
コンビニの店員さんが『常温ですが良いですか?』と言って渡してくれた冷めたアメリカンドッグはいつもより美味しい気がする。
数十メートル先では少年達が野球を始めた。
快音を響かせ飛んでくる打球を気にしながら過ごしている。
4月7日
勝手な気持ちながら頑張って欲しい、共に頑張りたいと思わせてくれるバンドが終わったり止まったりする事はやっぱり寂しく思いました。
最近は国芳?国貞展やピクサー展に行ったり、映画を手当たり次第に観ては刺激を受けまくっています。
やってやるぞ感がみなぎっています。
ピクサー展が想像以上に刺激的だった。
ピクサー作品が好きな人もそうじゃない人にも。
創作したい人、大人から子供、カップルでもひとりでも、沢山の人にお勧めしたい。
展示の中身が濃いし、常に混みあってるので時間がある時に。
ひと通り見てまわって3時間かかった。
2~3回は来たい。
4月18日 『○□△』
午前3時に屋上のゲームセンターは閉まり外へと追い出された。
ゲームセンターでの出来事は書くと長くなるので忘れる事にする。
客引きの若い女性(コンパニオンみたいな格好をしていた)、飲んだ帰りだろう男女大勢の集まり(大きな声で騒いでいた)、怖そうな人(目があったらすぐに絡んできそうな気配)、その中を閉店まで1人で過ごすのはかなりきつかった。疲れた。
電車の始発までは時間もあるし、歩いて帰ろうか悩んでいると前から声をかけられた。
カンボジアの方(何処だったかうろ覚え。ごめん。)から来てる○○。
アジア系の□□。とその彼女の△△。
他にもいたのだけど忘れてしまった。
久しぶりの再開にさっきまでの疲れは一瞬で忘れてしまった。
いつ何処で初めて会って、なんで仲良くなったのかは憶えていないけれど、懐かしい顔ばかりで凄く嬉しかった。
みんなに挨拶をして、背が低い△△には「△△いたのかー相変わらず小さいから気がつかなかったよ。」といつかと同じ様にからかった。
「ちょっとコンビニへ行ってくる」と言う声が聞こえ、歩いていく○○が目に入ったので「僕も飲物を買いに行くよ!」と駆け足で追いかけた。
途中で財布を鞄と一緒に置いてきた事に気づき、引き返そうとすると「このプリペイドカードで一緒に買えばいいよ」と○○が凄く柔らかい表情で言ってくれたので甘える事にした。
こんな記憶はしっかりと残っているのに、肝心の名前が未だ思い出せないのでやるせない。
コンビニへ向かう途中、会えた嬉しさから○○の脇腹を突ついてちょっかいをだしたりして笑った。
「最近どう?元気にしてた?」と聞くと○○は疲れた顔で「あんまり。」と言い、続けて同じ質問を僕に返したので、「同じ様な感じだよ。」と答えた。
数週間前に観た『スタンドバイミー』の最後のシーンが頭に浮かんだ。
その後も色んな話しをしたのだけど思い出すスピード以上に忘れていく速さが勝って書ききれない。
誰かが作ったパイを「美味しいねー」と食べながら誰かが「でも前の方が美味しかったよー」なんて言っていたり…いや…いつかずっと前に食べた○○の奥さんのパイが美味しかったいう話だったかも知れない。
思い出し書き残そうとしている間にも、煙が散っていく様に記憶がぼんやりと曖昧になり消えていく。
何日か経ったら○○の事も、□□の事も△△の事も忘れてしまう。
それを寂しく思ってこれを書いている。
寝ぼけていた頭が冴えてしまった今、改めて文の最初を読み直した。
ゲームセンターの話はまだぼんやりと微かに残っている。
4月25日 『あの味』
沢山咲いたツツジの花を見ると思い出し思う。
花をひとつ摘み、吸ってみたらあの味がするのか。
確かめてしまう事が勿体無いし、人目を気にして吸う勇気もないので吸えずにいる。
使わずに洗面台で埃をかぶっていたヘアムースを十数年ぶりに使っで出掛けた。(普通に使える事に驚いた)
だから今日は歩く度にふわっと風に運ばれて苦手だったあの匂いがしている。
ツツジも変わらずにあの味がするのだろうな。
思いながら今年も吸わずにいる。